市街地を小規模の地域に集約しコミュニティを再生しようというまちづくりを目指し、 「コンパクトシティの形成」に取り組んでいる青森市を今回の特集でご紹介いたします。

青森市の概要

東経 140,45
北緯  40,49
※県庁所在都市では唯一の特別豪雪地帯!

青森市は、青森県の県庁所在都市であるとともに、人口30万人規模の都市としては世界的に有数の豪雪地である。

本州と北海道を結ぶ拠点として青函連絡船がかつて就航し、港を中心に形成されてきた都市である。 昭和20年の戦災により、市街地の大半が焦土化したものの、戦災復興事業により現在の中心市街地が整備された。

東北の夏の三大祭のひとつである青森ねぶた祭、国の特別史跡の三内丸山遺跡などは本市の貴重な観光資源である。

また2010年には、東北新幹線・新青森駅の開業が予定されている。

□ 人口 約31万人
□ 地勢 面積約824k 陸奥湾と八甲田連峰に囲まれた都市
□ 産業 3次産業に特化した商業・流通業の都市
リンゴの生産量は全国2位、カシスの生産量は全国1位
都市づくりの基本理念
青森市は県庁所在都市では唯一、行政区域全体が特別豪雪地帯に指定されている。この雪による影響は市民生活ばかりでなく、除排雪経費の膨張という都市運営にまで大きく及んでいる。このことから持続可能なまちづくりには、市街地の拡大に伴う新たな行財政需要を抑制し、既存ストックを有効活用した効率的で効果的な都市整備、さらには市街地の周辺に広がる自然・農業関係との調和を図ることが必要であると考え、青森市の都市づくりの基本理念を『コンパクトシティの形成』と定めた。

「コンパクトシティの形成」は、中心市街地の活性化と郊外開発の抑制の2本柱を軸に、次に掲げる都市形成を目指すものである。

平成11年策定 青森都市計画マスタープランより〜

■ 雪に強い都市
豪雪都市である青森市にとって、無秩序な市街地拡大を抑制すること等により、流融雪施設の効率的な配置などを可能とし、効率的な都市運営が図られると共に、よりきめ細かな雪対策の推進を行う。また、都市機能の集約化による移動ロスの軽減による社会経済活動の向上を図り、都市運営トータルでの改善効果を得る。
■ 高齢・福祉社会に対応した都市
青森市にとって、都市全体の四季を通じたバリアフリー社会の実現には積雪等によって制約が多いが、都市機能の集約化や複合化等によって、所用の際の移動距離を少なくし、高齢者・車椅子利用者等交通弱者の社会参加を容易なものとするほか、高齢者向け住宅などの居住機能の都心への集約化によって、冬でも快適な居住環境を創出する。
■ 環境調和型の都市
青森市は豊かな自然に囲まれ、それらが都市個性であり都市生活の魅力を高める一要素であることから、無秩序な市街地拡大を抑制し、機能を明確に区分化することなどにより、都市近郊の自然・農地の乱開発を防止し、大気の浄化や、良質の水源、視覚的な「癒し」、都市的気象(ヒートアイランド現象)防止などの効果が得られ、より一層住み良い都市環境を形成する。

また、都市部の公園と周辺の自然環境をネットワーク化するなど、自然と調和できる都市環境の形成を推進する。
■ 災害に強い都市
無秩序な市街地拡大を抑制すること等によって、地震等災害時における避難・救援ルートの確保、短縮が可能となると共に、特に震災時には市民活動の活用が不可欠であることから、居住機能の集約化により地域コミュニティ意識の向上が図られることで、お互いに助け、支え合う安心できる地域社会の実現を図る。
■ 効率的で快適な都市
都市機能の集約化・複合化により、渋滞の抑制など交通面での改善や効率的な都市施設配置による生活利便性が向上すると共に、生活空間の密度がより濃密化することにより地域コミュニティ形成も相まって「人に優しい都市づくり」の形成を図る。

また、中心市街地の拠点性を高めることによって、青森市を代表する「顔」としての賑わいや活性化を促し、都心商業・業務機能の回復・強化を図る。

さらに、鉄道・バスなどの公共交通ネットワーク化により、効率的な運営・サービスを行うと共に、居住・就業等都市機能間のアクセシビリティの向上をはかることによって全ての市民に効率的で快適な都市環境を形成する。
都市構造
青森都市計画マスタープラン

■都市づくり理念
「コンパクト・シティ」を具体化
■都市づくりの方向を市街地の内側に向ける、機能的で効率的な都市構造
■都市を3つに区分し、地区の特性に応じた都市整備推進

インナー(Inner-City)
ミッド(Mid - City)
アウター(Outer-City)

コンパクトシティの形成を具体化し、都市づくりの方向を市街地の内側に向ける効率的で機能的な都市構造として、都市をインナー(Inner-City)・ミッド(Mid-City)・アウター(Outer-City)の三つに区分し、それぞれの地区特性に応じた都市整備を推進し、都市づくりを進めている。

・インナー(Inner-City)
昭和40年代までに都市化が進行した既成市街地で、都市計画道路3・2・2号(内環状線)及び東北本線を基調とする内側の地域で、既存ストックの活用により、都市の再構築を図る地域
・ミッド(Mid-City)
インナー(Inner-City)から、都市計画道路3・2・3号(外環状線)までの比較的新しい市街地や将来的な市街化需要の受け皿となる地域
・アウター(Outer-City)
都市計画道路3・2・3号(外環状線)より外側の地域で、原則開発は認めない地域
青森市中心市街地の活性化

アウガ

インナーシティにおける街なかの魅力づくりは、中心市街地を核として推進し、平成10年の青森市中心市街地再活性化基本計画(旧計画)から先導的な取組みをしている。
代表的なものは駅前再開発事業による複合施設「AUGA(アウガ)」であり、市民図書館を駅前に配置したため、平成13年のオープン以来年代を問わず立ち寄れる人気スポットとなっている。



パサージュ広場

また、駅前通りに面している跡地を市が買い取り、広場整備とともに9つの実験店舗が設けられ、起業家たちのチャレンジの場となる「パサージュ広場」は平成12年にオープンし、新たな賑わいの場となった。
広場の運営は、商店主と商店街振興組合が設立した「パサージュ・マネージメント・オフィス」((有)PMO)が行っている。



広場と一体空間を
形成する隣接ホテル

そのほかにも官民による多くの事業で、歩行者通行量や夜間人口の増加など一定の成果が得られたため、旧計画の方針を踏襲し、平成19年2月にまちづくり三法の改正に対応した青森市中心市街地活性化基本計画を策定したところである(計画期間平成19年〜平成24年、15の事業と措置)。 青森駅の総合交通ターミナル機能強化を図る青森駅周辺整備事業やねぶたを核とする文化観光交流施設整備事業、郊外の既存住宅と街なか居住との住み替えを図る街なか住み替え支援事業など行政主導の事業をはじめ、ねぶた祭りとよさこい祭りが一堂に集まるAOMORI春フェスティバル事業や学生による買い物サポートなどを行うまちなかサポーターズ事業など青森市中心市街地活性化協議会が主体となって進めている事業も多い。



AOMORI春フェスティバル

また青森市中心市街地活性化協議会は、地元商業者をはじめ、商工会議所、行政などさまざまな主体が参加し、一体となって中心市街地の活性化を図る組織体制になっており、行政と民間のパワーと知恵を集結させた青森市中心市街地での取り組みは全国から注目を集めている。

リーダーからのメッセージ

加藤 博氏
主な役職
襭丕唯和緝充萃役社長
青森商工会議所常議員
青森県商店街振興組合連合会企画委員長
青森市中心市街地活性化協議会副会長
青森市まちづくりあきんど隊隊長
青森市新町商店街振興組合常務理事
日本商工会議所まちづくり特別委員会委員
他役職多数

今年は、パサージュ広場のグランドオープンやAOMORI春フェスティバルの大盛況など、手ごたえを確実に感じています。商店街の活動として、今年で5年目になる「一店逸品運動」は認知度とともに人気も高まっています。

ここまでくるのに20年間、知恵と汗を出し合いながら取り組んできました。
元気なまちをつくるのは、自分たちのまちを何とかしたいという商業者たちの熱い思いであり、地域を育てようとする意識です。商店街同士の連携、さらに政策理念として明確な運営ビジョンを共有し、そのために行動する。ただそれだけなのです。

まちづくりに行政のリーダーシップはもちろん重要です。しかし、それを支えるのは私たち商業者たちの奮起がなければ活性化にはつながらないことを決して忘れてはなりません。われわれ民間の知恵とやる気という魂を入れない限り、街は元気にならないことを肝に銘じてほしいと思います。