監修

(有) いろは    代表
ネットショップ運営
コンサルタント
竹内謙礼さん

1970年高知県生まれ。大学卒業後、出版社の雑誌編集者になる。その後、千葉県にある観光牧場「成田ゆめ牧場」の企画広報に携わり、2001年より「楽天市場」に乳製品のネットショップを出店。オープン3年目で年商1億5,000万円達成。2年連続で楽天市場のショップオブザイヤー「ベスト店長賞」受賞。また、「ビッダーズ」で、2003年度準グランプリ受賞。「有限会社いろは」を設立し、ネットショップや実店舗のコンサルタントを精力的に活動中。


(有) いろはHP


キャッチコピーは『伝達力』が命


「キャッチコピーはセンスではなく、ノウハウさえわかれば誰でも作れます。商品を売るために必要なのは、かっこよさではなく、『伝達力』です」と竹内謙礼氏は語る。

『伝達力』とは、相手にいかにして情報を伝えるか、ということである。キャッチボールを行うのと同様に、情報を発信する側から受け取る側に、出来るだけ取りやすいボールを投げることが必要だ。お客様は、決して有能のキャッチャーではなく、自分の手が届く範囲のボールしか取らない。
 
つまり、キャッチコピーの第1段階は、お客様が出来るだけわかりやすい言葉で伝える、ということである。お客様は男なのか女なのか、若いのか歳をとっているのか、ターゲットによっても使う言葉は変わってくる。それでは、具体的にキャッチコピーを作る手順をみていこう。


(1)言葉をつなげる

チーズケーキを売るとして、そのチーズケーキの特長を挙げていく。さらに、それらの言葉をつなぎ合わせて、同じ内容の言葉を省き、わかりやすく簡潔な文章にしていく。

○チーズケーキの特長を挙げる

「1日30個製造、フランスで修行したパティシエが作ったチーズケーキ、手作りの本格派」
 

○つなぎ合わせる

1日30個製造。フランスで修行したパティシエが作った本格派のチーズケーキ。


○無駄を省き、簡潔にする

1日30個製造。フランス帰りのパティシエのチーズケーキ。

(2)弱い言葉から強い言葉へ

言葉には強い言葉と弱い言葉がある。インパクトがあり、イメージがしやすく、響きがよい言葉が、強い言葉である。具体的な例は、右図に挙げる。

それでは、実際に強い言葉に置き換えてみよう。まず、「製造」という言葉を「限定」という強い言葉に変化させた。さらに、より強くお客様へ訴える「しか作れない!」に変化させた。


「1日30個製造」
    ↓
「1日30個限定」
    ↓
「1日30個しか作れない!」


(3)ターゲットに合わせて専門用語は省略する

はじめはパティシエという言葉にこだわっていたが、「仕込み」という言葉を使うことで、パティシエという専門用語を使わずに済む。難しい言葉をなくすことで、年配の人や言葉の意味がわからない人も、ターゲットに入ってくる可能性が広がる。さらに、本場という言葉をプラスして言葉を強くした。


「フランス帰りのパティシエ」
       ↓
「フランス仕込みのパティシエ」
       ↓
「本場フランス仕込みの」


(4)魅力的な言葉をプラスする


先ほど、「フランス」という言葉に「本場」という言葉をプラスしたのと同様に、「チーズケーキ」という言葉を、より魅力的にイメージさせるために、「ふわふわ」という言葉をつける。さらに、「手作り」感は、すでにアピールされているので、簡潔にするため取り除く。


「手作りチーズケーキ」
      ↓
「ふわふわ手作りのチーズケーキ」
      ↓
「ふわふわチーズケーキ」


このように、弱い言葉を強い言葉へと置き換え、パズルのようにして言葉を組み合わせることで、キャッチコピーを作ることができる。

1日30個製造。フランス帰りのパティシエのチーズケーキ。
                  ↓
1日30個しか作れない! 本場フランス仕込みの、ふわふわチーズケーキ」


現場から生まれたキャッチコピーが売れる!


キャッチコピーはプロには適わないと思っている人は多くいるが、実際には現場のスタッフから出るキャッチコピーの方が売れる要素を秘めていることが多い。池袋にある「ピンクキャベツ」では、小柄な女性向けのSサイズの服を中心に販売している。一般の女性服のお店と勘違いして入ってくるお客様が多く、逆に他の女性売り場の中に埋もれてしまうという問題を抱えていた。

そこで、しっかりとSサイズの専門店というコンセプトを打ち出して、小柄な女性が思わず店に入りたくなるキャッチコピーを掲げることにした。

まず、「小さい服」で「バリエーションが豊か」、さらに「他のお店になかった服が、このお店にはある」という特長から以下の3つのキャッチコピーを作成した。




○小さな服でもこんなにお洒落な服があったんだ!
○今まで見つからなかったサイズの服、必ず見つかります!
○カジュアルから礼服まで、Sサイズの服を多数品揃え!



しかし、現場のスタッフから「表現している言葉が普通すぎる」という意見が出た。そこで、「何の目的でお客様が商品を買いに来るのか?」、「どうして、このお店がお客様に必要とされているのか」、「お客様はこの店で商品を買うことで、満足することは何か?」という現場スタッフしか知ることができない事柄を洗い直した。そうして出来たキャッチコピーが以下のものだ。

○着てみてびっくり! 身長が3センチ高く見えるお洋服


現場スタッフによると、来店する小柄な女性は、「小さい服がない」という悩みと同時に、「身長を高く見せたい」という願望を抱えていることが多いと言う。というのは、サイズの合わないブカブカの服を着ていることで、いつも以上に小さく見られてしまっている。そこで、ぴったりの服があれば、スタイルも良く見え、実際の身長よりも高いという印象を相手に与えることだ。まさに、小さい女性の気持ちがわかっている、現場スタッフにしか作れないキャッチコピーといえる。
ホームページにもキャッチコピーを!

                                       Before
これまでの企業のホームページは、世の中の風潮で、とりあえず作るという会社が多かったが、インターネットの可能性を視野にいれ、もう一度見直してみたい。


東京都葛飾区にある「株式会社ニッショー」は、トラックや自動車のパーツを取り扱う商社だ。以前のホームページは、会社のロゴマークを中央において、メニューを並べただけのシンプルなものだった。

開業45年を機に、自動車部品の卸業やディーラーなど新規開拓を念頭に、キャッチコピーを活か
しながら、営業ツールにも使える実践的なホーム
ページへのリニューアルを試みた。                     After

                                       http://www.ns-nissho.com/


(1)他社との違いを打ち出す会社のキャッチコピー
まず、「株式会社ニッショー」の特長を10点ほど挙げてもらい、その中で取引先が最も魅力を感じるものを社内の営業担当者に選んでもらった。

そのようにして選んだコンセプトを、他社との違いを明確にしながら出したのが、『ハッキリ言って、フットワークの「軽さ」が違います!』というキャッチコピーだ。



(2)数字を使って会社の特長を伝える
会社の特長として、以下の3つのキャッチコピーもトップページに掲載した。ここで特長になるのが、言葉の中に「23拠点」、「45年」、「4万点」など、具体的な数字を使っている点だ。


曖昧な言葉を使うよりも、信頼性が上がり、イメージが沸きやすくなる。実際に、数字のないキャッチコピーと比べてみると、その違いは歴然としてくる。具体的な数字を使うことで、より「伝達力」の高いキャッチコピーが可能になる。





数字がある場合
○スピード重視! 全国23拠点の縦横無尽のネットワーク
○45年の会社としての歴史が、お客様の信頼の証拠
○4万点以上のアイテム数で、お客様を完全バックアップ



数字がない場合

○スピード重視! 縦横無尽のネットワーク
○会社としての歴史が、お客様の信頼の証拠
○豊富なアイテム数で、お客様を完全バックアップ

(3)分かりにくい言葉にもキャッチコピーを!

「株式会社ニッショー」には、トラックパーツのブランド「POQS(ポックス)」とオリジナルパーツのブランド「NEAZ(ニーズ)」がある。それだけではわかりにくいため、各ブランドには、その特長を明確にした以下のようなキャッチコピーをつけた。


「POQS」
デザイン性を重視した「自分らしさ」の装飾パーツ

「NEAZ」
純正部品と同等の品質で、純正部品よりも安く

このように、キャッチコピーによって、企業や商品のイメージを明確にすることで、直接お客様へ向けた売上拡大につながるだけでなく、マスコミなどの記事で取り上げる際にも、特長が明確でわかりやすい方が、記者や編集者もまとめやすく、取り上げられる可能性も飛躍的に上がる。キャッチコピーによるお金のかからない「売上UP戦略」、すぐにでも実践してほしい。