生松工芸
創業は1977年。所在地は福岡県大川市。熟練の婚礼家具職人が手がけるテーブルやテレビボードのネット通販が好調。従業員はおよそ30人。

生松工芸工場直営 インテリアショップの ホームページ

http://www.rakuten.co.jp/ bridge-online/index.html/

職人の技こそ命。途絶えさせないためにも・・・

福岡県・大川市。筑後川が作り出す筑後平野の中心にあるこの都市は、人口わずか4万人。でも、日本一多くの家具を生産する地域でもある。

その町で、量販既存の販路にとらわれずオリジナルの家具を製作、販売している会社がある。それが、有限会社生松工芸。
もともと書棚の下請けメーカーだった会社が転機を迎えたのは2年前のこと。実兄が勤めていた婚礼家具メーカーが廃業することになったのだ。海外から安価な家具が輸入されるようになり、インテリアも手軽に選び変えることができる時代。競合できずに辞めていく会社が多いなか「高い技術を持っている職人たちを何とか活かせないか。熟練技術を途絶えさせてしまっていいのか」そんな強い思いから、職人と工場をそっくり引き継ぐことを決心したんです。と、石山隆通専務は、当時を振り返る。
とはいえ、10人もの職人を一挙に受け入れるほどの余裕があるわけでもない。でも木と対話し、仕事にじっくり向き合う不器用な職人たちが、年齢のことも考えると、自分たちで営業するわけがない。彼らの技術を活かせるす他のものを作り出さなくては…と頭を悩ませる日々。そこで以前から温めていたネット販売への準備を着々と進めていったのである。

「ホンモノ」へのこだわり

石山専務が突き詰めたのは「ホンモノ」

「天然木の無垢材、ツキ板のみを使い、本当の素材がもつ質感、味わいを感じてほしいのです」。新建材という便利な材料はあるけれど、木目を印刷し貼り付けたものだったりして薄っぺらさは否めない。しかもシックハウスという問題を引き起こすとも考えられている。少しでも不安を取り除くため、接着剤、塗料も自信をもった品質のモノしか使わないという。そして家具はその家族とともに歴史を刻んでいくもの。「安心して使えるものが一番!」と、塗料には幼児玩具にも使われている、口に入れても安全なものを使うといった徹底ぶり。そして、何よりのこだわりは「時代に左右されない。飽きのこない長く愛される家具なんです」と力を込めて語る。安い商品を買ってしまえば破損、飽きもくる。買い替えとなれば、結局のところ、コストが高くつき、資源の浪費にもつながる。長く使ってもらうためにも職人の技こそ欠かせないものだったのです。

もともと婚礼家具を作っていた職人たちは、当初、違うものを作ることへの抵抗感は少なからずあった。けれど、大手専門店向け、量販店向けではない、オリジナル家具を作って売る完全受注による「ブリッジ・オンライン」によって問題は解消される。

大型家具のインターネット直営販売を確立するためには・・・

高額商品は売れない。ましてや家具なんて無理! そう言われ続けてきたインターネット販売の世界でどうしたら売れるか試行錯誤の連続だった。ポイントは、WEBショップという最小限の経路で販売するからこそできる価格設定。通常、サイドボードなら、店頭で20〜30万円はする商品。ところが、インターネットならば流通マージンが発生しない、しかも工場直営の完全受注にすれば在庫をかかえなくてすむ。ならば10〜15万円で販売できる! 

しかも注文を受けてから、お客様のために1つ1つ丁寧に作っていく職人冥利につきるこの作業こそ、品質を落とさない鍵ともいえよう。2枚の板を継ぎ目なく直角に組み立てる技は、婚礼家具を作っていた職人だからこそなせるもの。多数の職人が働く大川市のメーカーでも、この技術を持つ職人は少ないという。
消費者の心をくすぐるのは、商品だけではない。家具のネット通販の場合、送料と設置料金を別々に設定している店が多い。これでは、消費税や送料との合計金額を見て、注文を取り消す客も多いのではないか? そう判断した石山専務は、全国の家具や引越し専門の運送業で作るネットワーク「PaPa−net(パパネット)」を利用することで、送料無料化に成功。しかも、家具専門の業者が配送するため、玄関に商品を置き去りにすることもない。組み立て設置をも完璧に行ってくれる。ここまでしてくれれば消費者にとっては、いたれりつくせり。決して高い買い物とは思わない。


当初1ヶ月の売り上げ目標は50万円としていたが、わずか2ヶ月で目標をはるかに上回る、3倍以上の165万円。ネットショップの担当者も、10万円近い高額商品が、開業からわずか2ヶ月でこんなに売れるとは…と興奮気味だという。 いまや1ヶ月300万円の売り上げも夢ではない。石山専務は「1年後には1ヶ月1千万円を超える事業に育てたい。そのためには、ほかのメーカーと提携してソファなどのライフスタイル全般を取り扱う商品へと裾野を広げよう」と考える。 直営店にしかできない価格と行き届いたサービス、そして確かな品質は、消費者の期待を裏切ることなくファンを増やしている。