榛木金属工業株式会社

榛木孝至さん

創業は1916年。所在地は大阪府東大阪市。榛木さんは1969年生まれ。大学卒業後、鉄工所勤務を経て、98年に父・榛木登司雄さんが運営する同社に入社。04年5月、自社ホームページを完全リニューアル。05年8月、銅の販売を行うネットショップもオープン。


いざふたを開けると、銅加工を求める市場は、確かにあった!

ホームページが完成したのは、04年5月のこと。その結果について「驚きました」と榛木さん。ネットを見たお客さんからの問い合わせが相次いだのだ。
「銅加工を求める市場があったんです。それも想像以上に。変圧器や電流設備、電気設備……、いかに、これまで弊社は情報発信をしてこなかったのかと、心から思いました」

さらに、思いもしなかった“強み”も、お客さんとのやりとりを通じて知った。
「ある企業から、変圧器の部品加工の見積もりを出すようにいわれたのですが、その担当者が『いま取り引きしているところよりも安い』と言われたんです。まさか“安い”と言われるなんて思いもしなかった。この頃は、本当に驚きの連続でしたね」

その後、新規のお客さんは月4件のペースで増加。そのうち、大手企業5社とは、継続的に取り引きをする契約を結んだ。なお、新規取引先の数は、いまも同じペースで推移している。



銅そのものが欲しいという要望に応えるためネット通販開始!

自社サイトをリニューアルして、数ヶ月が経過した頃から、同社に、ある問い合わせが入るようになってきた。
「銅そのものを売ってほしいということでした。『太陽光発電のパネルを、研究用に銅で作ってみたい』といった感じで、主に研究機関や大学などからの問い合わせが増えてきたんです」

産業用電池などに使う銅は、最高品質のものが求められるため、同社の扱う銅の質は極めて高い。そのため、研究機関などから“注文”が舞い込んだわけだ。

最初は断っていた同社だったが、急遽、販売を決意。その理由はこうだ。
「その研究が事業化されれば、弊社にとって、新しい需要になるんじゃないかと思ったんです。大きなビジネスチャンスになる可能性があるかもしれないと」

銅そのものの販売を行う「銅小口通販のかっぱ堂」のオープンは05年8月。現在は、週5〜6件の問い合わせが入っている。これまでの受注例としては「誘導モーターの開発」「ひらめの養殖に銅イオンを流す装置の製造」「パソコンのCPUの冷却用装置」などが挙げられる。どれも“興味深い”案件ばかりではないか。
「新しい販路部門として、大きな可能性を感じています」


銅小口通販のかっぱ堂 http://doutsuhan.com/

ITに出会って、新しい一歩を踏み出す気持ちになれた!

自社ホームページを立ち上げてから、会社の風向きは大きく変わったと榛木さんは実感する。

05年3月には10年ぶりに設備投資を再開。「NC施盤」を新規導入し、高硬度鋼品や難切削品加工がより高いレベルで行えるようにした。05年6月には、新製品の製作能力アップが図れる「80Tプレス」も導入。さらに06年4月には、銅専門の加工に特化したマシニングセンターを導入した。

ITに出会って何がよかったか。榛木さんはこう話してくれた。
「ホームページを立ち上げたことで市場が広まり、その結果、多くのことが見えてきました。特に、新しい一歩を踏み出す勇気を持つことができた点は、すごくプラスになっています。今年4月には、弊社は初めて経営理念を作成したんです。90周年を迎えた今年は、初心に戻り、社員全員が同じ意識、同じ方向に向いて挑戦していくつもりです」



「榛木金属工業」の成功法則
(1)自社の“強み”をしっかり認識・アピールした
(2)顧客の新たなニーズをビジネスチャンスと捉えた
(3)設備投資など、攻めの気持ちを持つようになった