ところてん、こんにゃくなどの 製造・販売
栗原商店

栗原康浩さん  

明治2年開業。所在地は静岡県清水町。小売店への卸しがメインだったが、バブル崩壊後、方針を転換。2000年10月にはネット通販事業に乗り出す。06年5月には実店舗もオープン。


スーパーに卸すことで、価格競争の波に飲み込まれる

創業は明治2年。ところてんやこんにゃくを製造・販売する「栗原商店」は、創業以来、主に工場周辺(静岡県清水町)の、小さな青果店や鮮魚店、あるいは学校給食用などに、これらの商品を卸し、生計を立てていた。

だが、バブルがはじけた頃から、雲行きは変わった。ちょうどその時期はまだサラリーマンだった、4代目社長の息子・栗原康浩さんは、こう話す。「当時は、トラックで小さな小売店を一軒ずつ回って、こんにゃくなどの商品を卸していたのですが、そうした小売店が、次々と店を畳んでいったんです。その結果、本当に商売が成り立たなくなっていったんですね」

栗原さんがサラリーマン生活にピリオドを打ち、同社に入った頃、その状況はかなり危機的だったという。

「小さな小売店がなくなったから、売り上げを維持するために、スーパーに卸さなければいけませんでした。でも、スーパーに卸す以上、いわゆる大手と戦わなくちゃいけません。価格競争の波に飲まれて、忙しいだけで、商売を続ける意味がない状況へとどんどん陥っていきました」











同社のところてんは、伊豆の天草、富士山の湧き水を使用!

栗原商店の作るところてんは、伊豆産の天草と富士山の湧き水である柿田川の名水を使用している。
「ところてんは、天草と水が命です。伊豆の天草は日本で一番グレードが高いことで有名なのですが、当社は伊豆に近い場所にあります。さらに、この地は、富士山の湧き水が出る地域なので、ところてんを作るには最適の場所なんです」



なるほど、同社からクルマですぐの場所にある柿田川に立ち寄ったところ、湧き出る地下水が見ることができる。その水は、透き通っている。「小さい頃は、泳いでいたんですけど、夏でも水が冷たく、3分と入ってられませんでしたよ(笑)」と栗原さん。同社では、工場に井戸を掘り、この柿田川の湧き水を汲む。「柿田川湧水」の証明書も、もらっている。

栗原さんに、ところてんの作り方を、簡単に説明してもらった。
「天草を釜に入れて、ずっと煮るんですよ。その煮た汁を絞って、型に入れ、常温で固めて完成させます」



伊豆の天草、柿田川の湧き水……。しかし、創業以来、このことを、同社は一切アピールしてはいなかった。
「スーパーなどの店舗では、価格なんです。そんなアピールポイントは、何ら強みにはなりませんでしたし、強みになるとも思わなかった」

テレビ局の企画で、売り出したところ爆発的人気に!

そんな状況の中、転機は突然やってきた――。
今から約8年前、テレビ局からある提案を受けたのだ。
「うちの“ところてん”を紹介したいという話でした。それで、テレビ局側は『スーパーで売っているような形ではなく、四角いままのところてんを、お客さん自身が突き棒で押し出して、食べてもらう形で紹介したい』と提案してきました。味というよりも、そういう企画性を狙ったんでしょうね」

この案を受け入れた同社は、ところてん自体の“売り文句”も必要ということで、「伊豆の天草」「柿田川の湧き水」などを使用していることをアピール。すると、テレビ放映後、大きな衝撃を受けることになる。

「番組で通信販売の告知もしたのですが、すごく売れたんです。当時、スーパーで一個100円程度の商品が、15人前4,000円などで売り出したところ、飛ぶように売れた。皆さん『美味しい』って言ってくれて」



栗原さんは「こういうやり方だと売れるんだ」という確かな手ごたえを得たという。その後、テレビや通販雑誌などで、頻繁に取り上げられるようになり、同社はスーパーに卸す以外の販路を見出していった。


後編に続く