監修

コミュニケーション・インストラクター

浦野 啓子さん

株式会社東芝商事を経て、対話総合センターに入所。厚生労働省若年者就職基礎能力支援事業認定試験実技面接官のほか、多くの企業、団体で管理職や新入社員、営業担当者などへの各種研修を手がけている。

主な著書は「超一流の名刺マナー」「要点を聞く技術」「60分ですぐ身に付く電話の応対」など50冊以上。

要注意!!電話応対は会社の顔


ビジネスの世界における電話スキルが、年々企業間で重要視されてきている。コールセンターを置く企業の増加、講師を呼んで電話に関してのセミナーや研修を開く企業も増えている。各企業が電話のスキルを高めようとしているのは、電話の第一声が会社のイメージを決めてしまうからである。

某百貨店では、夕方にかけるお客様への電話営業の第一声を「御寛ぎのところ失礼致します。」と特徴ある言い回しにした。それを統一して社員全員が使うことで「御寛ぎのところ〜」と電話があれば、○○百貨店からの電話で、変な電話じゃないとお客様に印象づけたのである。


これは、電話における可能性の例だが、一本の電話からビジネスチャンスが拡がるだけではなく、クレーム処理などは電話応対次第で、お客様に伝わる真摯さは全く違う。応対を一つ間違えば、会社の大きな損益にも繋がってくるだろう。そして、社員がクレームを予想外と捉えているか、想定内と捉えているかによって、会社の雰囲気自体も変わるはずである。あなたの会社の社員は、電話を恐れていないだろうか?たかが電話、されど電話の気持ちで自分の電話応対は大丈夫か確認してみよう。


あなたの会社は大丈夫?ビジネス電話の基本チェック

まずは、ビジネス電話の基本を自分の会社での電話対応を考えてチェックしてみよう。
リストでは相手はあなたと初めて電話で話している相手と仮定している。

■電話の“基本”チェック

YES/NOでお答え下さい
(A)
人から電話の時は、少し声が高いねと言われる。また、自分でも、それを意識して話している。
(B)
相手をイメージして(年齢、性別、相手の状況など)話している。
(C)
相手への返事はちゃんと「はい」と言っている。
(D)
目線は自然な目線を心がけている。
(E)
電話でも、仕草や所作に気を付けている。(丁寧に物を扱ったり、表情にも気を付けている)
(F)
背もたれにもたれたり、肘をつかずに話している。
(G)
電話に出るとき、相手を待たせたら最初に謝るようにしている。

さて、どうだっただろうか?チェックしてみて全てYESだったら、あなたの電話応対は基本がきちんと出来ていて、日常で電話応対するには問題ないレベルにある。逆に一つでもNOになっていたら、相手や社内から、いい印象を受けていないことも考えたほうがいい。それでは、各チェック項目が、どのような意味を持つのか紐解いてみよう。


“声”を気持半音あげるよう心がけよう

チェックリストの(A)は“声”である。電話は相手の姿が見えないので、出す声には最大限の意識を傾けなくてはいけない。幾ら心で謝っても、声がそのように聞こえなくては相手には通じない。そして、相手の印象を悪くする声としては、聞き取りにくく、暗くて陰気な声。そうならないために、日常の電話では必ず普段より半音上げた声を出すようにしたほうが相手の印象も良くなるのである。ただし、それは本当に基本として身につけておくべきこと。

次に心がけるべきことは、声に“抑揚”をつけること。一度、電話での自分の声をテープに録って聞いてみると、想像以上に一本調子に聞こえると思う。抑揚をつけてリズミカルに感情を表現することで、相手に与える印象は大きく変わる。さらに、話すときに使う“声”は使い分ける必要がある。下記の話し方に応じた“声”の使い分けを、意識して使えるように練習してみよう。

■使い分けよう!!声の出し方

よく響く声
どんな電話にも用いる。口の開閉をしっかりやることで出る声。
通る声
メモをしている時などに意識。腹式呼吸で声を出し、声が篭らない様にする。
柔らかい声
抑揚をつけるとき。お客様へのお礼などで使おう。
テンポのいい声
歯切れをよくする。ビジネス電話で要領を得た応対などで使える。
声の大小
TPOに応じた聞きやすいボリュームを考えて声を調整する。


相手を想像して電話をする

(B)は、相手に応じた話し方を出来ているかである。初めての相手でも、その声だけでも様々な情報がわかるはずだ。まず、性別はわかるだろう。そして、年齢も大まかな見当が付くはずだ。そこから、自分より年輩だと思えば、言葉遣いも丁寧に、子どもだったら、理解しやすい言葉に自然に変えていく必要がある。

また、相手の状況も想像しよう。携帯電話なら、電波の受信状況を気にして、テンポのいい対応が必要になるだろう。また、相手が早口で急いでいるようなら、それに応じた対応が望まれる。いかに相手をイメージして話せるかで、相手の印象は大きく変わるのである。

受け答えは聞こえるようにはっきりと

意外と出来ていないのが(C)である。最初は、「はい」とはつらつとした声を出せていたのが、電話が長くなると、「うん」「ああ」など気の抜いた返事になり、果ては「・・・」と無言になるケースさえある。
繰り返すが電話は声が全てである。声に出さないと何も相手に伝わらない。返事や相槌はしっかりと出すように心がけよう。気のない返事は相手に自分の話に興味がないのかと思わせてしまうもの。短いフレーズ一つでも、気持ちを込めるべきだろう。話の内容によって「ええ」「そうですね」などうまくテンポよく使いこなせるようになれば理想的だ。

それと、話の腰を折るような相槌はやめるべきだ。相手の話を遮るように「はいはいはい・・」と言ったりするのは不快感を煽る。話を聞くことに集中すれば自然でテンポのいい相槌がうてるようになる。

正しい電話マナーを身につけよう

(D)は、声の出かたにつながる。クレーム電話で、相手が怒られて、下ばかり向いてはいないだろうか?下を向くと声も出にくくなる。電話をかけるときにも、声の出しやすい目線というのがあり、それは電話マナーにつながる。(E)(F)も電話をかけているときのマナーである。相手に見えないからといっても、音は聞こえているし、社内的な目も意識しなくてはいけない。それでは、正しい電話のかけ方を記載しよう。

 背もたれから拳一個分あけて座る

◆背筋を上下に伸ばし、あごを引き上げる。
  (腹式呼吸しやすいように)

、左手を受話器に、右手は通話口に添える。
  (メモを取るときは別)

ぁ¬楡は45度の視線に落として話す。
  (オフィスでは書類を見るような視線)



名刺を受渡しするときにもマナーがあるように、ビジネス電話にもマナーがある。肘をついて、足を組んで電話をすれば、それは声にも現れてしまう。日ごろ、習慣のように悪いマナーが身についてしまっている人は意識しなくては変えられない。正しいマナーをおこなうと自然と声の調子も丁寧になってくるのである。内装を整えて外装を整えましょう。

電話に出るときも常識がある

電話に出るときの常識が(G)である。会社で電話が鳴ったらみなさんの会社では、どれぐらいで電話にでているだろうか。どのタイミングで出るかは、会社で統一させて徹底させたほうがよい。多くの企業ではワンコールで出ることを心がけさせている。それでは、電話が「プルルルル」と何度か鳴ってから出た場合はどう応対するのがいいだろうか。それは以下を基準に電話応対を変えてみよう。

 3回以上電話音が鳴った場合  =  「お待たせいたしました」

◆5回以上電話音がなった場合  =  「大変お待たせいたしました」


まず、申し訳ないという気持ちを込めて、こういうだけで相手の印象も気持ちも大きく違う。しかし、電話を掛けるたびに謝ってばかりではいけないので、出来るだけ迅速に電話をとるのが望ましい。

オフィスの電話の「プルルルル」というワンコールも実は何秒か時間を経過している。心がけとしては「プ」と鳴ったら反射的に電話に手が伸びるのが理想である。しかし、早く出ようとするあまり息を切らしながら電話には出るのは逆効果。そういう時は、一呼吸おいて心を落ち着けてから出るようにするべきである。