監修

ビジネスコンサルティング事務所
オフィス・ケイ代表
竹内 一正さん

1957年、岡山県生まれ。徳島大学大学院修了、米国ノースウエスタン大学客員研究員。1981年、松下電器(株)にエンジニアとして入社。VHS、コンピュータ用小型記録メディアなどの磁気記録技術の新製品開発に従事、数多くの特許を出願。
その後、アップルコンピュータ(株)、日本ゲートウエイ(株)にてプロダクトマーケティング部門で実績を積み、メディアリング(株)代表取締役社長などを歴任。2002年に独立しビジネス・コンサルタント事務所「オフィス・ケイ」を設立。新たな価値を生み出すをテーマに、独自のコンサルティングを展開。新技術開発からビジネスプロセスの改革など、幅広く活動中。

メールアドレス:
kaztake@k3.dion.ne.jp

ホームページ:
http://www.office-kei.jp



会社として、経費削減に取り組むことを決めたら、どう実践していくべきか。アプローチの仕方はとても重要になる。以下のフローが手順になる。フローを辿っていって、計画的に経費削減が実行できるようにしなくてはいけない。また、会社全体として徹底して取り組めるように体制を作っていこう。

■成功するための経費削減の手順




経費削減の責任者を設けて徹底的に取り組む


経費の現状調査と分析

過去1年(出来れば2年)の会社内で使った経費を部門別に出してみましょう。項目としては出来るだけ月別、課別、係別など細かく分けて分析する。数値的なことも重要になるが分析していく上では“気付き”が重要になる。どれだけ、多くのことに気付けるかがポイントになる。

目標設定

トップダウンとボトムアップの2種類の方法がある。ボトムアップは担当者レベルからの意見を反映させて目標を設定する。しかし、ボトムアップは実際に実現可能なところに目標を設定しがちで、大きな成果を期待できない。一方、トップダウンは現場の実態とは無関係に社長自らが決めるもので、会社全体の売上から経費の総額を決めるアプローチの仕方である。トップダウンで削減の総額を決めて、部門ごとに分割して、それぞれの科目別の目標は各部署に任せるやり方が効果的である。トップダウンでの決定数値は、販売計画から利益計画を差し引いた数値で作るのが一般的である。会社全体の削減数値を決めたら、それを各部門に分けて、各課、各係に分けて、さらに各個人の役割と目標を明確にする。



目標設定注意事項

 ¬詰に思えるような目標設定をする

目標設定の注意事項として、目標は無理なぐらいの数字に設定することである。ちょっとがんばれば出来てしまうレベルでは、人は発想の転換をするところまでは至らない。無理なぐらいの目標とは、今までのやり方では到達できないレベルのことである。ただし、無茶な目標にはならないようにさじ加減をしてもらいたい。

◆経費削減の責任者を決める

経費削減の責任者を決めて、責任者は達成できなければ達成責任を負うべきである。責任者は各部署での取り組みを横断的に見ながら、社長、管理職、社員、すべての人に同じだけの努力が要求されるよう、バランスを取ることが重要だ。この時に、削減目標などに不公平感があれば訂正できる権限を責任者には与える。会社に所属している人間が同じだけの努力を要求されるようにバランスをとらなくてはいけない。

各課、各係りでの目標達成への時間軸設定、各自の役割分担

目標とともに大事なのが、詳細な計画立案である。経費削減の失敗例としてよくあるのが、細かい項目別にせずに大まかに決めたりとか、達成日程がいいかげんなものだったりする計画である。
例えば、広告宣伝費は、現在進行形のものは手を付けられないので、次の計画に盛り込むことになる。逆に、オフィスの電気代の節約は今日からでも出来る。それぞれの詳細項目をきちんと検討したうえで、実施日程、達成日程を項目別に立てるべきである。

経費削減計画の公表

経費削減の目標とスケジュールが立ったら、社内全体に公表して、通知する。それによって会社としての削減活動の開始になる。「昨日までとは違うんだ」という、見た目にも、そして、心構えも社員全体の意識が変わるような雰囲気を作ることが大事になる。

経費削減の進捗管理と計画と実績の修正

実際に経費削減を始めていくと、実施状況の進捗と計画に差が生じてくる場合がある。その場合、その差をなくすための修正行動計画を各課、各係に作らせて、その内容の妥当性をチェックしていく。

経費削減責任者には計画を管理・監督することに集中させる

ここで、勘違いしてはいけないことは、経費削減の責任者は、個々の経費削減項目について自ら出て行って実行する責任があるのではない点だ。


社長から管理職、一般社員までの全員に削減の実行責任はあり、経費削減の責任者は、その計画を推進するためのいわば御者。数十頭立ての馬車を操ることになる御者が操作を誤ると、馬は100%の力を発揮できない。どの馬も力を発揮できるように指揮して、一刻も早く目的地(=目標)に達成できるようにするのが経費削減の責任者の役目になる。自らが馬になって走っていては行き先が見えなくなってしまう。社内全体の不公平感がないように目配りをするなど、各部署から反感が出ないように気配りしなくてはいけない。その意味でも、経費削減の責任者は何よりも発想の転換ができる柔軟性のある人物にお願いしよう。