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プロフィール
【名前】
鈴木公明
【職業】
東京理科大学 知的財産専門職大学院 教授
東和知的財産研究所 所長
弁理士
【プロフィール】
1990年東京大学卒業、キヤノン(株)知的財産法務本部を経て特許庁入庁。制度改正審議室、特許・実用新案審査、意匠審査等を歴任後、2005年より現職。 2006年より不正競争防止法違反物品水際対策懇談会委員。 2007年弁理士登録。 2009年より東和知的財産研究所所長。 著書に『知的財産のデューデリ』(編著)、『特許価値評価モデル(PatVM)』(共著)、『知財戦略の基本と仕組み(編著)、『知財評価の基本と仕組み』、『IT知財と法務』(共著)、『知的財産の価値評価』、『工業所有権法逐条解説』(部分執筆)など。 論文、講演多数。
【所属】
東京理科大学/東和知的財産研究所
【性別】
男性
コラムカテゴリ
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2009-09-06 (Sun)
最近の知的財産担保融資の事例
小室哲也氏/音楽著作権担保融資の事例

 2001年10月に、富士銀行(現、みずほ銀行)は、音楽プロデューサー小室哲也氏の音楽著作権を担保に、約十億円を融資しました。融資にあたって、印税や資金調達の管理を行う専門会社との契約が条件とされたとのことです。これは著作権収入を確実にして、担保としての価値が損なわれないようにする銀行側の措置だと考えられます。

ワイズビジネス/特許出願担保融資

 2002年7月に、日本政策投資銀行とあおぞら銀行は、インターネットを活用した出版系ベンチャーのワイズビジネスが保有する、権利化前のビジネスモデル特許出願を担保にして、協調融資を行いました。ワイズビジネスは、印刷工場を持たない出版業を行っています。この融資は、同社が行っているカタログとインターネット上で印刷を受注可能なサービスのシステムを構築するための資金を提供するものです。

ペンシル/商標権・ドメインネーム所有権

 2003年3月に、日本政策投資銀行は、ポータルサイトを運営するペンシルが行う開発投資に関してインターネットポータルサイトに関する商標権及びドメインネーム所有権等の権利を担保に1,000万円の融資を行いました。インターネットのホームページを担保とする融資としては初のケースです。ペンシルは、平成7年に設立されたIT関連ベンチャー企業で、ポータルサイトの企画・設立・運営、検索サイトにおける上位表示サービスやネット上で顧客の集客・分析サービス等を提供しています。この融資は、企業ホームページの広告効果を測定するシステムの開発資金を提供するものです。

ジャストウエイ/コンピュータの著作権担保融資

 2003年6月に、日本政策投資銀行はジャストウエイが行う開発投資に対し、6、000万円の知的財産権担保融資を実行しました。 ジャストウエイは、デバイスドライバの開発を行うベンチャー企業で、主力製品のプリンタドライバが複数の大手メーカーで採用されており、統合プリンタドライバ、計測器、医療機器向けのドライバ開発を行っています。この融資は、同社が他社にライセンス供与を行っているソフトウェアプログラム著作権を担保として、開発資金の一部を提供するものです。
図表:ジャストウエイへの融資スキーム 出所:日本政策投資銀行ホームページ
アリスタライフサイエンス/特許権等担保融資の事例

 2003年9月に、UFJ銀行,三井信託銀行、あおぞら銀行、住友信託銀行が、農薬販売会社アリスタライフサイエンスに、農薬製造・販売に関する特許権などを担保にした355億円の協調融資を行いました。アリスタライフサイエンスは、2001年にトーメンとニチメンの農薬事業を統合して設立された会社で、高い成長性が見込まれています。銀行団は、出資のために組成されたファンドに対する出資の形で資金を提供しました。

旭通信/特許権、ソフトウェア著作権担保融資

 2004年3月には、横浜銀行と日本政策投資銀行が、旭通信の業務効率化システムに関する特許権、ソフトウェア著作権を担保に、4000万円ずつ協調融資を行っています。旭通信は電気通信工事業のほかに、電気通信工事業者の業務効率化・高度化システムの開発や、そのソフトウェアの販売事業も行っています。この融資は同社の知的財産権を担保に通信工事業務管理システムの機能を高度化するための開発資金を提供するという位置付けになっています。

GDH/アニメ著作権担保融資

 2004年8月、東京三菱銀行、UFJ銀行、日本政策投資銀行は、民放各局向けなどのアニメ制作会社GDHのアニメ作品の著作権を担保に、合計9億円の制作資金を協調融資しました。この融資は、特別目的会社(SPC)を用いるスキームに特徴があり、GDHはSPCにアニメの著作権を譲渡し、対価として制作費用を調達しますが、このSPCに対して各銀行が協調融資をするほかに、外部の投資家にも出資を求めるものです。
 このスキームは、各銀行から見ればSPCに対する知的財産担保融資ですが、スキーム全体を見ると、原資産である知的財産が将来生み出すキャッシュを裏づけとして、SPCがデット(債権)型とエクイティ(株式)型の証券を発行する証券化のスキームと同様の構造になっています。このケースでは、アレンジ業務を銀行が行うことにより、融資による金利収入とともにアレンジの手数料も銀行の収入源となっており、不動産担保偏重姿勢から脱却したい銀行が、コンテンツ産業に融資する際の新しいスキームとして期待されます。

脚注
特別目的会社(SPC: Special Purpose Company):資産の証券化、流動化のために、資産を取得して対応する証券を発行するための会社。
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