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プロフィール
【名前】
鈴木公明
【職業】
東京理科大学 知的財産専門職大学院 教授
東和知的財産研究所 所長
弁理士
【プロフィール】
1990年東京大学卒業、キヤノン(株)知的財産法務本部を経て特許庁入庁。制度改正審議室、特許・実用新案審査、意匠審査等を歴任後、2005年より現職。 2006年より不正競争防止法違反物品水際対策懇談会委員。 2007年弁理士登録。 2009年より東和知的財産研究所所長。 著書に『知的財産のデューデリ』(編著)、『特許価値評価モデル(PatVM)』(共著)、『知財戦略の基本と仕組み(編著)、『知財評価の基本と仕組み』、『IT知財と法務』(共著)、『知的財産の価値評価』、『工業所有権法逐条解説』(部分執筆)など。 論文、講演多数。
【所属】
東京理科大学/東和知的財産研究所
【性別】
男性
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2009-09-06 (Sun)
知的財産を証券化する
証券化とは何か

 知的財産権の証券化のお話を致します。そもそも「証券化」というのは、債権(原資産)の所有者が、これを裏づけとして対応する証券を発行・売却することにより、資金調達することを指します。そして、リスクコントロールの仕組みを持つスキームを構築することから、仕組み金融(ストラクチャードファイナンス)とも呼ばれます。

知的財産担保証券化のスキーム

 SPEというのは、「特別目的倒産隔離機関(Special Purpose Bunkruptcy Remote Entity)」の頭文字で、原資産を取得して対応する証券を発行するという、証券化に関わる特定の業務のみを行うために利用される機関(会社とは限りません)を指しています。

SPE

 SPEは、知的財産権の所有者(オリジネータ)から知的財産の譲渡(信託の場合もあります)を受けます。ここで、担保となる原資産は一般に、知的財産権自体および/または知的財産権に基づくロイヤルティ請求権ですが、ロイヤルティ収益はライセンシー企業の信用リスクを伴うキャッシュフローです。
 リスクの高い原資産をそのまま証券化したのでは、利率等の条件で不利になるため、リスクコントロールする必要がありますが、SPEは倒産隔離(Bankruptcy Remoteness)によるリスクコントロールを担っています。

倒産隔離

 倒産隔離とは、オリジネータが仮に倒産した場合にも原資産が破産財団に組み込まれることなく、投資家への資金環流が保証される仕組みのことで、証券化のために設置したSPE(特定目的会社)に原資産を真性譲渡することにより実現します。

キャッシュの流れ

 特定目的会社は、原資産の取得と対応する証券の発行以外の業務を行えないので、譲渡を受けた知的財産権から得られるライセンス料の回収などの収益事業等の実行は、別の管理会社(サービサー等)に委託することになります。この受託者が知的財産の収益化等を行い、その収益が将来SPEに戻されることになります。
 SPEはこの将来収益を裏付けとして各種証券を発行し、投資家から資金を調達します。これらの証券はその種類に応じて、将来収益によって元利金が償還され、配当が支払われることになります。SPEは証券発行により集めた資金を、譲渡を受けた知的財産権の代金としてオリジネータに支払います。

リスクコントロールの手段

 実際には、このような時系列でイベントが発生するわけではないので、銀行の短期融資などを利用するようにすることもあります。また、収益事業によるキャッシュフローが不安定な場合にも、投資家への資金還流を保障し、資金調達条件を改善するために、信用補完、優先劣後構造、超過担保(注)などのリスクをコントロール手段が採用される場合もあります。
 収益事業としてライセンスアウトを考えた場合、ライセンス契約に基づくキャッシュフローの信用度は、ライセンシー企業自身の信用度を上回ることはできませんし、オリジネータ自身が実施企業となる場合も同様です。キャッシュフローの信用度が低いままで証券化を行うと、証券に高い配当などを設定しなければ投資家が納得せず、結果として資金調達のコストが高くつくことになりますが、リスクコントロールを行うことによりキャシュフローの信用度を高めれば、相対的に有利な条件で証券を発行することができます。

証券化のための器

 なお、証券化を行う場合のSPEとしては、特別目的会社(SPC)のような特別な会社を設立しないで、有限会社、組合、海外法人などを利用することが可能ですし、信託業を行っている第三者をSPEとして、信託により信託受益証券を発行することでも証券化が可能です。
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