「行きたくなるまち、住みたくなるまち」の実現を目指し中心市街地の再生に取組んでいる長野市の特集を掲載します。

長野市の概況

長野市では平成10年に冬季オリンピックが開催され、新幹線、高速道の整備が進み、平成11年には中核市へ移行するなど都市の基盤整備が進んだ。長野市は、長野県一の都市ですが、多くの地方都市と同様、郊外化の進行で中心市街地の居住者数は減少を続け、郊外化により多くのショッピングセンターが郊外に形成され、消費の多くも郊外で行われるような状況が続いていた。行政、TMOが口火を切ることで、大型店撤退による中心市街地衰退に歯止めがかかり、空き店舗への出店(平成15年度以降、市の空き店舗補助金利用実績28件)、マンション建設(平成15年度以降、施工済6棟277戸、施工中1棟50戸)、民間再開発事業、シネコン進出(平成18年6月オープン)など民間投資も進んでいる。都市ストックを活用して街の魅力を高めることで、居住者増加、賑わい回復の傾向が出始めている。

取り組みへの背景
a.
長野市の中心市街地は、善光寺の門前町として歴史的な蓄積を持ち、さまざまな便益を提供しその中心を担ってきたが、一方で、車社会への移行が急速に進み、郊外への人口流出に伴う都市機能の移転やロードサイドへの大型店出店が進行。中心市街地の商業機能の衰退が問題となってきた。
b.
平成12年、中心市街地の大型店2店舗(地元百貨店、大手総合スーパー)が相次いで撤退し、中心市街地の空洞化が一気に深刻化しました。
c.
平成13年に長野商工会議所がTMO構想協議会を設け検討、平成14年3月にTMO構想が認定。平成16年5月には、株式会社まちづくり長野がTMO認定を受け、中心市街地活性化に向けた取り組みを進めている。
TMOの役割
空洞化が進行している中心市街地の活性化を図るため、「中心市街地における市街地の整備改善及び商業等の活性化の一体推進に関する法律(中心市街地活性化法)」が平成10年7月に施行。この法律は、地域の創意工夫を活かしつつ、「市街地の整備改善」「商業等の活性化」を柱とする総合的・一体的な対策を関係省庁、地方公共団体、民間事業者が連携して推進することを目的としています。

この法律に基づき、全国の413地区(平成18年8月21日)でTMO(まちづくり機関)が認定されています。各TMOは、様々な事業主体が行うまちづくりの運営を横断的・総合的に調整し、プロデュースしながら、様々な課題の解決に向けた事業に取り組んでいます。

長野市中心市街地の再生事業 ―生活環境をまちなかに集積させる―
空洞化の深刻な商店街を再生するには、商業が成立つ環境が必要と考える。
「住・職・福・学・憩・観」の機能と「文化・歴史」をまちなかに取り入れ、商業施設と商店街を複合化し、まちの魅力と賑わいを創出する。
そのためには単発的な事業・改善では不可能と判断し、行政・民間・まちづくり会社・地域コミュニティーが協働して、失われた各種機能を再び中心市街地に呼び戻すべく、戦略的再生計画を立て、矢継ぎ早に中心市街地再生事業に取り組んできました。まちづくり長野では、行政・民間単独では取り組めない事業を受け持ち、大型空き店舗の後活用として地域生活者の利便性を重視した「TOMATO食品館」の開設、善光寺門前における核となるテナントミックスの開発、中心市街地における駐車場の整備等に次々と取り組んできました。

もんぜんぷら座TOMATO食品館
空き店舗を活用して人の流れをつくる
空洞化の深刻な中央地域の大型空き店舗の後活用と地域再生後利用計画について、市民の声として公共的施設と商業施設の複合的活用の要望が高かった。周辺住民には高齢者が多く、街中から食品スーパーが消え日常生活品の購入に苦労するとの声があり、地元住民等5610名による食品スーパー開設の陳情書が市に出された。長野TMOは、ビル1階に食料品店を計画。一番の緊急課題とされ、空洞化の象徴といわれていた大型空き店舗を、近隣の人々に最も必要とされている食品スーパー「TOMATO食品館」として平成15年4月に全国でも異例のTMO直営店としオープンした。もう1つの大型店跡地を利用した再開発事業は、商業とメディア、公共施設(市生涯学習センター)が融合した複合施設「TOiGO」を平成18年9月にオープン。道路を挟んだ反対側には、商業施設と立体駐車場の複合施設も同時にオープンしました。

商業とメディア、公共施設(市生涯学習センター)が融合した複合施設「TOiGO」
■善光寺門前で空洞化した商店街の再生


ぱてぃお大門 蔵楽庭(くらにわ)
善光寺門前の大門町には、活用されていない土蔵、立派な庭を備えた空き家屋が多くあった。これらの地域資源活用による商店街の活性化と善光寺拠点を支える新しい魅力拠点の形成を図るために、テナントミックスによる新たな商業施設を設置する「ぱてぃお大門整備事業」が計画された。「小さな旅気分を味わえるまち」をコンセプトに観光客重点から市民生活者も訪れる施設施設を目指しバティオ(中庭)を中心に面的に整備。(インテリアショップ、レストラン、カフェ、土産物店など20店舗が出店)。 平成17年11月にオープン、オープンして1ヵ年間に70万人を集客している。
リーダーからのメッセージ

(株)まちづくり長野 前タウンマネージャー
服部 年明氏
長野市はTMO認定から市とTMOが主体となり、民間を巻き込みながら過去5年間緊急性の高い地域を拠点に活性化に取り組み、賑わいの再生へ一定の成果を収めているが、中心市街地全体に視点をおけば、未だ十分な活性化に至っておらず、さらなる活性化が必要である。また舞台となる街の環境、賑わいの拠点が整備されても、役者(店・商店街)の魅力がともなわなければ、また失速衰退する。このたび国の認定を受けた基本計画では「まちなか観光の推進」と「まちなか居住の促進」を重点的に取り組み、交流人口と定住人口の創出による中心市街地の活性化を目指すとしているが、重点目標を達成するには商業の活性化が重要となる。生活者の生活シーンを捉えた業種構成、価値、サービス、エンターテイメント性(歓待・楽しさ)をいかに充実させるかが勝負となる。商業者の意識改革と新陳代謝が求められる。長野市は財政の厳しい中で過去5年間、多額の資金を投じ活性化に取り組み、また商工会議所も共通の使命感を持ち中活の役割分担を担うため、会員、市民の協力と理解の下、まちづくり会社の設立と運営に強力な支援を果たした。活性化は都市経営の投資であり、投資対効果が問われる。過去5年間に投じた活性化事業を活かし、今後は民間主導でソフト事業を中心に活性化に取り組むことになる。

私は今年4月末、TMO組織から中活協議会へ移行するのを機会にタウンマネージャーを勇退し、まちづくり長野の参与となり、5年間ともにTMO事務局を担ってきました越原照夫氏にバトンタッチしました。皆様のご支援ご協力をお願いいたします。在任中、ご指導ご支援いただきましたことに感謝申し上げます。現在私は、中小機構より委嘱を受けましたまちづくりサポーターとして、全国各地の中心市街地商業活性化のアドバイスに飛び回っております。皆様のまちの活性化は先人が築いたまちの文化、価値、資産を、いかにして後生に伝えてゆくか重要な取り組みであります。微力ではありますが皆様とともに考え、勇気をもって行動しましよう。気軽にお声をおかけ下さいませ。