補助金や助成金

補助金と助成金は、多くの企業や個人が資金調達の選択肢の一つにできる重要な財政支援策です。

補助金と助成金はよく混同されやすいのですが、実際には明確な違いがあります。

大きな違いは下記のものです。

補助金:基本的に事業をサポートする。予算が限られていて定員も決まっており採択されない可能性あり。

助成金:対象者や対象活動などの基準を満たしていれば受給可。申請期間が長く募集タイミングも多いため受給しやすい。

また管轄や、目的も異なっているため適切なものに申請する必要があるでしょう。

この記事では、補助金と助成金の定義、それぞれのメリット、活用方法、および申請の際の注意点について解説します。

正しい知識を持って適切な財政支援を活用し、事業の成長やプロジェクトの成功につなげましょう。

補助金とは公的機関から提供される財政支援

補助金は、主に公的機関から提供される財政支援であり、特定のプロジェクトや事業に対する資金援助を指します。

補助金の特徴

  • 採択件数や金額があらかじめ決まっている。
  • 申請しても受給できないことがある。
  • 募集は公募で1ヶ月程度の公募期間を設けるのが一般的。
  • 地域振興、新規事業支援、公益につながる事業の促進などが目的。

補助金の主な管轄として、経済産業省や中小企業庁があげられます。
補助金は通常、公共の利益を促進する目的で提供され、受け取るためには特定の条件を満たす必要があります。

他にも補助金は、新規事業の支援や地域振興なども目的としており、いずれにしても社会的、経済的な発展を促進する内容に関して、サポートしていきます。

受給者は、定められた目的に沿って資金を使用しなければなりません。

助成金は要件を満たせば受給できる可能性が高い

一方、助成金も財政支援の一形態ですが、より広範な目的で提供され、非営利団体や社会貢献活動に対して授与されることも多いです。

助成金の特徴

  • 要件を満たしていれば受給できることが多い。
  • 申請期間が長く、随時募集がかかっているものも多数あり。
  • 雇用や労働環境の改善等が受給目的の中心。

助成金は、特定の活動やプロジェクトを支援するための資金であり、受給条件は補助金に比べて柔軟であることが多いです。

助成金の主な目的は、社会的価値の高い活動を奨励し、支援することにあります。

補助金や助成金を活用するメリット

補助金や助成金を活用すると、どんなメリットがあるのでしょうか。

経済的な支援を受けられ原則返済不要

補助金や助成金を受ける最大のメリットは、経済的な支援を原則返済不要で受けられることです。
資金は、新しいプロジェクトの立ち上げ、既存事業の拡張、設備投資など、様々な用途に使用することができます。

特に資金調達が難しいスタートアップ企業や小規模事業者にとって、受給は事業の成長を促進する大きな助けとなります。

自己資金の投入をしなくてよくなる、あるいは最小限に抑えられるなど経済的な負担を軽減できるでしょう。

事業の拡大や改善が可能

補助金や助成金を利用することで、資金繰りに悩むことなく事業の拡大や改善に取り組むことができます。

申請にあたって事情契約書等を準備する際に、事業について熟考できる機会にもなるでしょう。

補助金や助成金を申請することで、競争力の向上、サービスの質の向上、市場への新規参入などを実現できる可能性が広がります。

補助金なら事業の価値があがることもある

柔軟な対応を特徴としている助成金と違って、補助金には審査もあり、場合によっては受給できないこともあります。

その分補助金が支給されたということで、事業計画に将来性があると認められた証明に繋がるでしょう。

創業前や新規事業では、事業の価値向上にもなるのです。

補助金や助成金を活用するデメリット

補助金や助成金を活用するにあたって、デメリットも知っておく必要があります。

申請の前に知っておきたいことを解説していきます。

情報を見つけにくいことがある

補助金や助成金の情報がなかなか見つからないこともあります。

公募を団体ごとに行っている、公募ページも自分でアクセスする必要がある、公募期間もまちまちなど、ある程度予備知識を持って探す必要があるでしょう。

自分の事業に合う補助金や助成金があるのか、頻繁に検索しておくことが大切です。

J-Net21(中小企業ビジネス支援サイト)の「支援情報ヘッドライン」などで検索できます。こまめなチェックをおすすめします。

https://j-net21.smrj.go.jp/snavi/index.html

補助金は受給されないこともある

申請すればある程度柔軟な受給を期待できる助成金と違って、補助金は審査に通らないこともあります。

やはり人気の補助金は、応募者も多数ですから、書類を作成して提出しても採用されないケースも想定しておく必要があるでしょう。

補助金は制度全体での予算が決まっているものです。応募者が多ければ早く締め切られたり、抽選制となって外れたりする可能性もあります。

補助金や助成金の申請方法と注意点

補助金や助成金の申請はどのように行うのでしょうか。

また、申請にあたって注意しておくことはあるのでしょうか。

補助金や助成金の申請方法

補助金や助成金の申請方法は、提供元によって異なります。

通常、オンラインまたは書面での申請が必要となり、詳細な事業計画書や提案書の提出を求められる場合が多いです。

補助金では、申請者が多く受給するための競争が激しく、厳格な審査が行われるものが大半を占めています。

補助金・助成金申請の受給までの流れ

  1. 申請可能な補助金や助成金を探す
  2. 申請準備
  3. 申請
  4. 採択結果の通知・交付申請
  5. 中間報告
  6. 交付決定・事業の実施
  7. 事業実績の報告・受給
  8. 事業状況の定期報告

補助金と助成金では流れに違いがあることもありますが、おおよそは申請先を探し、提出書類等を準備して申請、その後申請が通れば受給となります。

申請書類は補助金によって異なるので、指定された書類を準備し、指示に正確に従うようしっかり確認しましょう。

申請時に必要となることが多い書類

  • 応募申請書
  • 事業計画書
  • 見積書
  • 事業要請書
  • 実績報告書
  • 納品書・請求書・発注書など

書類は複数準備することもありますので、募集要項を確かめておきましょう。

また、書類提出だけでなく面談が行われることもあります。

補助金や助成金の申請での注意点

補助金や助成金の申請にあたっては、いくつかの重要な注意点があります。

まず、資金の使途は定められた目的や条件に厳密に従う必要があります。不正確な情報を提供したり、資金を不適切に使用したりすると、返金を求められる場合があるため注意が必要です。

定期的に実施報告書や経費等がわかる書類を提出するように求められます。

補助金や助成金によって提出する書類は異なりますが、基本的には遂行状況報告書や、経費明細表、見積書や発注書などの書類をまとめておきましょう。

普段からこまめな書類整理が必要です。

また、補助金では申請過程での競争が非常に激しいため、資金獲得のためには差別化された提案や、明確な目標達成計画が求められます。

指定された期日に報告や書類提出を行うことが多く、守れないと資金の交付が中止される可能性もあるためです。

さらに、補助金や助成金は一時的な財政支援であることを理解し、長期的な事業計画として依存しないように計画を立てることが重要です。

事業者やスタートアップにおすすめの補助金・助成金

国や団体などが取り扱っている補助金の特徴を解説しています。また小規模事業者や、スタートアップにおすすめの補助金をご紹介します。

国の補助金・助成金は様々な資金目的に対応

国や中央政府が提供する補助金や助成金は、特定の産業振興や社会的課題解決を目的としていることが多いです。

たとえば、コロナウイルスの影響により変化した社会情勢に対応する補助金や、災害時に申請できるものなどがよく見られます。

通常、事業規模や業種を問わず、幅広い分野で利用可能であり、新技術の開発、環境保護活動、地域振興など資金目的は多岐にわたるものが多いでしょう。

地方自治体の補助金・助成金は地域特有のニーズを支援

地方自治体が提供する補助金や助成金は、地域経済の活性化や地域コミュニティの支援を目的としています。

地域特有のニーズに合わせたものであるため、地元で事業を行う方や団体にとって大きなチャンスとなるでしょう。

申請資格や利用条件は自治体によって異なるため、詳細は各自治体の公式ウェブサイトや窓口で確認することが必要です。

民間の補助金・助成金は柔軟な対応が期待できる

民間企業や財団法人が提供する補助金や助成金もあります。特定の社会貢献活動や研究開発プロジェクトを支援することを目的としており、公的機関よりも柔軟な条件で提供されることがあります。

特に、イノベーションや社会貢献に重点を置いたプロジェクトに対しては、民間からの支援が期待できるでしょう。

それでは、下記に具体的な補助金の例を紹介していきます。

商工会議所地区の小規模事業者持続化補助金は経費の一部を補助

小規模事業者持続化補助金は、小規模事業者等の販路開拓や業務効率化を支援する補助金です。

小規模事業者とは、製造業なら従業員20人以下、商業・サービス業なら従業員5人以下の事業者となります。

持続的な経営に向けた経営計画に基づく取り組みに対して、必要な経費の一部が補助されます。

対象経費には、店舗改装・広告掲載・展示会出展費用などがあたります。

https://s23.jizokukahojokin.info/

支援対象が広いものづくり補助金

ものづくり補助金は、設備投資やサービス開発を行う中小企業を支援する制度です。

製造業のみが対象ではなく、生産性向上に取り組む場合はIT関連や小売業、サービス業も受給できます。

ものづくり補助金は電子申請のみ受け付けています。

https://portal.monodukuri-hojo.jp/index.html

補助金や助成金応募のポイント

補助金や助成金の受給は、提出書類の多さやその後の報告など簡単ではないと言ってよいでしょう。
しかし、事業の成長や新しい取り組みに対する貴重な資金源となり得ます。

特に補助金はなかなか採択されないといわれていますが、正確な情報を提供し、申請要件を満たすことで、受給の可能性を高められるでしょう。

補助金や助成金に申請することで、事業計画や目標を明確にし、事業の持続可能性を向上させる機会ともなります。

助成金や補助金を申請・活用する際は、以下のポイントに注意してください

  • 対象となる資金の目的と要件を正確に理解すること。 提供元が設定したガイドラインに沿って申請書類を準備し、指定された用途にのみ資金を使用するようにします。
  • 申請書類の準備には十分な時間を確保すること。 詳細な事業計画、予算計画、目標達成のための戦略など、必要な情報を包括的に提供する必要があります。
  • 提供元の選定基準に注意を払うこと。 競争が激しいため、申請する補助金や助成金が事業の目的やニーズに最も合致していることを確認しましょう。
  • 申請後のフォローアップを怠らないこと。 状況の確認、必要に応じた追加情報の提供など、応募だけして完了とならないようにします。

補助金と助成金の違いに関するまとめ

補助金は申請しても支給されない可能性がある一方で、助成金は支給されやすい点が大きな違いといえます。
事業や必要額などによって適切な補助金または助成金を選び、よい効果をもたらせるか検討したうえで申請しましょう。

また忘れてはいけないのは、補助金や助成金の受給が事業のゴールではない点です。
資金を効果的に活用すれば、事業の成果を最大化できます。

資金提供を受けた後は、プロジェクトの進捗管理、成果の途中報告、といった点も重要になってきます。
補助金や助成金の活用は、資金準備に困難を期待しやすい中小企業やスタートアップの事業やプロジェクトにとって大きなチャンスになるでしょう。